年代別の似合う着物の着付け方法・ポイント・髪型
着物は洋服に比べると誰が着ても同じように見えそうだと思いがちですが、そうとも限りません。
着物の着こなし、というのは個性や好みを反映したものに出来ます。例えば衣紋(えもん)をかなり大胆に抜くと粋な着こなしになります。胸元にふっくらと余裕をもたせ、半衿を多めにのぞかせば、衿の打ち合わせに柔らかさが出て、着慣れた感じになります。
逆に、衣紋を抜きすぎず、衿合わせを細めのV字型にし、半衿も細めに出せば、今度はシックでおしゃれに着付けられます。
帯の結び方や位置によっても個性を出せます。帯の位置を低めにして帯幅を広めに、斜めに帯を締め上げると、粋な着こなしになります。
お太鼓が低く、下部にふくらみをもたせた銀座結びや、つの出し太鼓はいかにも着慣れた、艶っぽい着付けです。
また、年代ごとで着付けの仕方を変える、ということもよいでしょう。それぞれの世代での着付けのポイントを説明していこうと思います。
ご年配の方
女性は年齢を重ねていけば重ねていくほど個性や美しさが出るものです。着物を着た時にはそれに応じた味が出てとても自然で、板につきます。
上品さと貫禄を生かすために、落ち着いた装いに仕上げることが大切です。全体的には余裕を見せつつ、それでいて手は抜かないよう、しっかりとまとめましょう。
★衣紋...ゆったりと4、5センチ程度に抜きます。えりもとはゆったりと合わせます。おしゃれ着の場合は首のカーブに沿って自然な感じにします。訪問着の場合は、えりは一般に広めにし、衣紋はぐっと抜き加減にして華やかさを出しましょう。留袖などの場合は、普段よりも少し抜き加減にしておおらかさと重厚さを強調するのが良いです。
★帯...低めに、帯幅を狭めて結ぶのが良いでしょう。
★帯揚げ...帯揚げはほとんど隠します。また、帯締めの位置を下めに締めることで年齢に応じた落ち着きと気品が出ます。
★すそ...くるぶし下、履物のかかとが隠れるぐらいにすると素敵です。
ある程度のご年齢の奥様
ある程度の年齢から着物の本当の味が出る、と言われています。何故かと言うと、気持ちに余裕があり、女性らしい包み込むような柔らかさが出てくるからではないでしょうか。
そんな素敵な年代である奥様方の上品さだけでなく、色気も感じさせるよう、ゆったりと仕上げるのが良いでしょう。
★衣紋...7、8センチくらい抜きましょう。半衿も心もち多めに出すと、柔らかい感じになります。
★帯・・・腰骨にかけて下目に結ぶと落ち着いた雰囲気になります。お太鼓は山を低めにして下部をふくらませると、落ち着きが出ます。また、おたいこの下側やたれを斜めにすると、柔らかさと、たおやかさが生まれます。
★帯締め・・・帯幅の3分の1の位置に締めます。位置が下だと、落ち着きと貫禄が出ます。
若い奥様
若い奥様には若さだけではなく、落ち着きが混じった、豊かな女性らしさがあります。ですから若さは保ちながら、奥様らしいしとやかな落ち着きを感じさせるように着付けるというのがポイントです。
また、色気と上品さ、包容力もちらりとのぞかせたいところです。
★衣紋...あまり抜きすぎないよう、6センチから8センチくらいに留めます。前の打ち合わせは、開けすぎないよう、ぴったりと合わせます。初々しい気品が出ます。
★帯...若いお嬢さんとは違い、あまり上すぎないようにします。お太鼓は、上下に丸みをつけてふっくらとした感じに作ります。斜めに締めすぎると、若い奥様の場合、いやらしい感じになるので注意しましょう。体型のすらりとした方は、直線系にまとめるとすっきりします。
★帯揚げ...すっきりと仕上げて感じ良くしましょう。十字型に一直線にのぞかせるようにします。
若いお嬢さん
実は、最近の若い方は着物を好んで着ている方が増えてきています。着物を着る、ということはあまりないことなので、逆に新鮮なのかもしれません。
結婚前の若いお嬢さんの場合、若さ、初々しさを生かしつつ、上品に仕上げるというのがポイントです。
★衣紋...あまり抜かないようにしましょう。衿合わせも少し上げるようにしましょう。
★帯...心もち高めの位置に締めます。おたいこは高く、大きくまとめます。
★帯締め...帯幅の半分の位置に締めます。
★すそ...くるぶし下あたりがよく、つま先は心もち上げる程度にすると若々しい印象になります。
以上のように、年代によって着物の着こなしも変わってきて、選ぶ着物も変わってきます。もう着なくなった着物は査定に出してみるのも良いでしょう。買い取ってもらえば、そのお金を、年代相応の次の着物を買う時の足しにすることもできますし。
着物を着るときの髪型
着物を着る時に困ることの一つに髪型があります。髪型も着物や帯、小物などと同様にTPOを考えてセットする必要があります。まず、格式の高い会などのかしこまった場においてはアップに結い上げるのが相応しいです。
成人式などのお目出度い場においては華やかに髪飾りをつけるようにしますが、結婚式にお呼ばれした時には少し抑えめに髪飾りをするようにします。結婚式というのは新郎新婦が主役のものですからね。
花嫁さんが華やかな髪飾りをしますから、それと被ってしまわないよう、それより目立ってしまわぬよう配慮しなければなりません。着物の格や色合いに合うようなかんざしを、さり気なく挿すぐらいにしましょう。
着物を着るとなると、髪の毛も豪華にしなければならないの?と構えてしまうかもしれませんが、綺麗に、スッキリまとめ上げることを意識するようにして下さい。髪の毛をシンプルにまとめることによって、着物の華やかさが相対的にアップします。小物を使わずとも、三つ編みを入れたりすればさりげない可愛さを演出することが出来ます。
一方、カジュアルな場で着る場合にはそんなに作りすぎず、ゆったりした雰囲気のものに仕上げましょう。綺麗なストレートヘアであればそのまま下ろして髪飾りをつけるのも良いですし、お団子などで簡単にまとめるだけでも良いでしょう。
関連ページ
着物に合う体型「ずん胴」に近づける補正用小物
着物を着る際の草履・下駄など履物の選び方
着物を着る際に必要な小物・着物用下着
着物の種類と格(礼装着・略礼装着・外出着・普段着)
袷(あわせ)単衣(ひとえ)薄物(うすもの)絽(ろ)季節感を考えた着物選び