着物の種類と格(礼装着・略礼装着・外出着・普段着)
着物には色んな種類があり、「格」というものがあります。そして場によって着るものを合わせなくてはいけません。TPOを考えるというやつですね。着物だけでなく帯や小物にも格があり、正直面倒だなあと思ってしまう人もいると思います。
しかし、そのルールを守って着こなせば、ビシッと決まってとても素敵です。他と差をつけることが出来ますし、一目置かれることもありますから、着物を着るのが楽しくなると思います。着物の格について、おおまかに説明しますので、参考にして下さい。
<礼装着(第一礼装)>
黒留袖、本振袖、打ち掛けなど。特別な儀式で着られるもので、1番格が高いです。
<略礼装着>
色留袖、振袖、訪問着、色無地、江戸小紋の紋付など。礼装着の次に格が高く、入学式や華やかなパーティーなどで着られます。
<外出着>
付け下げ、小紋、紬、絞りなど。少し格が高いものでも良いですし、自分の好みも考慮しながら、TPOに合わせて着ます。
<普段着>
紬、ウール、木綿、浴衣など。ちょっとしたお出かけや、自宅などで着るためのものなので格の低いものとなります。
もう少し細かく、それぞれの着物の特徴も説明していこうと思います。
■黒留袖■
既婚女性の第一礼装とされています。結婚式において親族が着ます。黒の地色に白く家紋を染め抜いた五つ紋をつけて下襲(したがさね)をすることが決まりになっています。
■色留袖■
地色が黒以外の留袖で、既婚女性や振袖を卒業した未婚女性が礼装・略礼装として着ます。結婚式では親族でなくとも着られます。また、祝賀式典や格式の高いパーティーにも相応しいです。五つ紋付だと第一礼装になり、三つ紋付だと幅広く着られます。
■振袖■
未婚女性の第一礼装とされています。華やかな刺繍や絞り、箔などが施されていて、お目出度い柄のものが多いです。袖の長さは大きく大振袖(本振袖)、中振袖、小振袖に分かれていて、袖が長いほど格が高いとされています。大振袖は成人式や結婚式、格式の高いパーティーなどで着られ、中振袖や小振袖は気軽なパーティーなどで着ます。
■訪問着■
既婚者も未婚者もどちらも着られる略礼装です。裾に大きな絵羽模様(縫い目があっても途切れない模様)があり、上半身にも柄があります。結婚式、お見合い、お茶会、パーティーなど様々な場面で着られるので使い勝手が良いです。格式高い場においては一つ紋が付いたものが相応しいです。
■色無地■
黒以外の色で染めたもので、柄の無い、無地着物のことです。紋の数が多いと格式が高くなります。五つ紋は礼装として、一つ紋は略礼装としてお茶会などで着られます。暗めの色のものであればお通夜や法事などに相応しいです。
■付け下げ■
訪問着に次ぐ格の着物で、訪問着を着る時よりも軽い外出の際に着られます。縫い目に柄が渡らないようになっています。既婚、未婚を問わず、幅広い機会において着られ、安価で、親しみやすいことから人気があります。
■小紋■
同じ柄が繰り返されている、型染の着物です。柄が細かいというのも特徴です。軽い外出着として、お買い物や観劇、カジュアルなパーティーなどに向いています。洋服でいうとワンピースのような感覚のものです。
■紬■
糸を先に染めてから織る着物のことです。紬を着ながら家事をしたりするため、丈夫なものが多いです。昔は普段着として着られていたものでしたが、軽い外出着としても来ることが出来ます。お稽古や趣味の会などで気軽に着られます。
他にもウールや木綿などは普段着として用いられます。これらは特に扱いやすく、特に木綿は洗濯機で洗うことも出来るので非常に便利です。また、最もカジュアルなのが浴衣で、夏祭りや部屋着としてゆったり着ることが出来ます。
丁寧に保存を。
以上のように着物には様々な種類があり、ケースバイケースで着る場合には、1つの着物を長期間着ないで何年後にまた着る、もしくはもう一生着ない、ということもあるかと思います。
着物を着て帰宅した際には、そんなことも考え、タンスなどに丁寧に保存しておくようにします。将来的にもう着ないであろう着物は、買取に出して現金化することもできます。種類にもよりますが、正しく保存されていた訪問着などは高額で買い取ってもらえることもあります。
いずれ買い取りに出すにしろ、年々後かにまた着るにしろ、状態良く保存しておくことは着物と上手に付き合っていくうえでとても大事なことです。大切に扱ってあげるようにしたいものです。
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